I.H. Magazine
INTERVIEW NO.2

「絶対に変えてはいけないのは
    モノづくりとしての魂」

Bar Rocking chair 坪倉健児

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「Bar Rocking chair」 http://bar-rockingchair.jp/

1974年、左京区生まれ。駒沢大学出身。
千代田区の老舗バー「ガスライト」で6年間修行をつみ、
京都に戻り木屋町二条のバー「K6」に4年半在籍。
2009年2月にバーロッキングチェアを開店。

2015年、「第42回全国バーテンダー技能競技大会」で総合優勝。

2016年、東京で開催された国際バーテンダー協会主催の
世界大会「ワールド・カクテル・チャンピオンシップ」に出場。
63か国・地域の約110人と競い、
カクテル名「The Best Scene」で総合優勝。
日本人で2人目の、
「ワールド・バーテンダー・オブ・ザ・イヤー」に輝く。

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京都に住んでいると
意外と知らない事も、
旅行者はよく知っている

伊崎屋半兵衛:本日はお忙しい所にも関わらずお時間を頂戴しありがとうございました。

坪倉健児  :私でお話しできることはなんでもお聞きくださいね。

半兵衛   :ありがとうございます。坪倉さんの生まれは京都とお聞きしておりましたが、
       どういった経緯で京都でBarを開店されましたか?

坪倉    :私は学生時代を東京で過ごして初めてカウンターに立ったのは霞が関のお店でした。
       最初は生活のために始めた仕事だったのですが、気づけば没頭してしまい学生を終える頃には
       バーテンダーを職業にしようと思っていました。そして、せっかくなので独立する時は
       故郷に帰ってこようと決断したのが15年前の出来事です。京都を離れて10年経っていました。

半兵衛   :他の職業には全く興味がなかったのですか?

坪倉    :実は、教師を志していました。
       卒業を間近に控えた時にバーテンダーを選び東京で引き続き修行に入りました。

半兵衛   :正直、教師とは意外でしたがお人柄に触れると、少しわかるような気がします。
       久しぶりに京都に帰ってこられてなにかお気づきになったことはありますか?

坪倉    :修業時代、霞が関でお客様と旅行の話をしていると京都の話がよく出てきます。
       そこで気づいたのが、京都に住んでいると意外と知らないことも、
       旅行者の方はよく知っているということです。幼い頃に親に連れて行ってもらった例えば
       清水寺とかもうっすら記憶があるだけですがそれ以上のものがない。

半兵衛   :お客様からの土産話で再確認させられることがあるという事ですか?

坪倉    :そういう事です。いい話ばかりを聞かせていただきました。
       でも残念ながら遠い記憶の中なので相槌をうつのが関の山でした。
       そこで感じたことはせっかく誰もが訪れる京都に住んでいるのだから
       もっと京都のことを知った方がよいのではという事でした。

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伝統とは「育てる」こと

半兵衛:良く分かります。私もお話を聞いているうえで納得しました。
    話は変わりますが坪倉さんは日本バーテンダー協会に所属され世界一になったとお聞きしています。
    その時の話をお聞かせください。

坪倉 :何回も挫折を味わいましたがなんとか日本一になり、世界大会の切符を手にするに至りました。
    世界に挑戦できるのは後進に道を譲る意味もあり一度きりなのです。

半兵衛:それでは一度きりの挑戦でワールドチャンピオンになられたという事なのですね。感動しました。

坪倉 :とんでもないです。ただ、一度日本チャンピオンになれば、世界大会出場者を決める、
    この同じ大会にでることはまずありません。

半兵衛:後進のためにとは言えシビアな世界なのですね。

坪倉 :確かに。そういうところもあるかも知れませんが私はそれが良いと思います。
    伊崎屋半兵衛さんは伝統×革新といわれていますのでそこに準えると、私にとって
    伝統とは「育てる」ことです。私のために先輩や先を行く方々が道を作ってくださったので今の私が
    あると思います。だから私は教育という形で今後のバーテンダーに道を残していきたいと思っています。

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革新とは伝統の中に存在する
温故知新の精神

半兵衛:それでは革新とはどういうものでしょうか?

坪倉 :ひとことでいうのは難しいですが、私にとって革新というのはそんなにおおげさなものでは無くて、
    伝統の中に存在する温故知新の精神だと思います。時代に即した形で現場は姿を変えていきます。
    だから、その時々で知識なり技術なり、変えていかなくてはいけないものがあると思います。
    反対に、絶対に変えてはいけないのはモノづくりとしての魂というか心ではないかと思います。
    この二つが混然一体となったものが革新というものでは無いかと思います。

半兵衛:なるほど。それでは作り手として大切なものは何でしょうか?

坪倉 :100パーセントの力をもってお客様にサービスするのは当たり前のことだと思いますが、
    お客様から頂いた意見は謙虚に聞くことではないでしょうか。
    モノというものは作り手のものでは無くてあくまでもお客様のものです。

半兵衛:大変気付きの多い時間とさせていただきました。ありがとうございました。

坪倉 :いつでも遊びにいらしてください。ありがとうございました。

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